清潔を保つポイントは乾燥までしっかり行うこと!手洗い後の乾燥の重要性について検証結果を基に解説します。
目次
清潔を保つポイントは乾燥までしっかり行うこと
なぜ「手洗い」と「乾燥」が大切なのか?
手には、様々な細菌やウイルスなどの病原体が付着していることが多く、そのような手で目や鼻の粘膜に触れれば、病原体はそこから体内に入ってしまい感染を引き起こす可能性があります。
手指衛生は感染症予防の基本であり、菌やウイルスなど病原体の拡散を防ぐために重要です。コロナ禍を経て、こまめな手洗いは多くの人に習慣づけられましたが、手を洗ったあとの乾燥についてはいかがでしょうか。ここでは公共施設における一般的な手洗い方法を想定し、洗った手を乾かすことの効果について検証しました。
手洗いの一連のプロセス
「石けん」と「流水」による手洗い後にしっかりと「乾燥」まですることが重要

◆試験概要◆手洗い+乾燥の有効性調査

試験結果1|石けんと流水による手洗いで菌数が減少
石けんと流水でしっかり洗うことが重要
手指に付着した菌は、水道水だけで手洗いした場合でも98%以上の菌を洗い流せることが試験結果から読み取れます。さらに石けんと流水による手洗いを行えば、99%以上の菌が洗い流せることがわかります。
手を洗うときには石けんと十分な流水でしっかり洗うことが重要です。
試験結果2|手洗い後に水栓ハンドルに触れると20人中20人に細菌が再付着
手洗い後に蛇口に触れないことが重要
不特定多数の人が触れるハンドル式水栓には細菌などが付着している可能性があります。せっかくきれいに手洗いをしてもハンドルに触れることで、細菌やウイルスなどの汚れが、再び手指に付着する可能性があります。試験ではその割合は20人中20人という結果でした。手洗い後に水栓のハンドルに触れることは手洗いの効果をなくす可能性があることがわかります。
試験結果3|手が濡れたままだと触れた場所の菌が手に付着しやすい
手洗い後はしっかりと乾燥させることが重要
手洗いの後、濡れた手で髪を整えたり、ハンカチ代わりに服で手を拭いた経験は誰にでもあるもの。しかし髪や服には目に見えない汚れや細菌が付着している可能性があります。毛髪には1平方センチメートルあたり10⁵、頭皮には10⁴もの細菌が存在しているとの報告(※)があります。濡れた手で髪や服に触ればそこにある汚れや細菌の多くが手に付着してしまいます。試験では、手が濡れたままの状態だと、乾燥した場合と比較して、手の接触により移る菌数が多いことが確認できました。手洗い後はしっかりと乾燥まで行う習慣をつけることが重要です。
※参考文献 ヒト毛髪に常在する細菌群衆の生態とその構造を決定する因子の解明(20J12699: 2020 年度 実績報告書 科学研究費助成事業データベース) 

試験結果4|手洗い後の乾燥手段としてペーパータオルとハンドドライヤーの有意差はない
「ペーパータオル」と「ハンドドライヤー」は清潔を保つ上で高い効果
外出時にハンカチを持ち歩くという人もいますが、最近は公共施設のトイレに使い捨てのペーパータオル、あるいはハンドドライヤーが備わっていることも増えてきました。ふき取り法の試験で、石けんと流水による手洗い後に両者を用いて手を乾燥させたところ、いずれも清潔を保つ効果が高く、ペーパータオルとハンドドライヤーではほぼ同程度の手の菌数を示しており、両者には目立った有意差は見られないことがわかりました。
スタンプ法による可視化

スタンプ法の試験では、手についた菌をスタンプに押し当て培養することで菌を可視化しました。手洗い前はカウントできないほど無数の菌が付着していた手指ですが、石けんと流水による手洗いを行い、ペーパータオルあるいはハンドドライヤーでしっかり乾燥させると、菌は数えられるほどしか残らないことがわかりました。
-まとめ--------------------------------------
手洗いの重要性は広く認識されていますが、その後の手の乾燥が同じように重要である点は、看過されがちです。濡れた手は、細菌やウイルスが再付着しやすいだけでなく、細菌にとっては増殖に適した環境でもあります。さらに、濡れた状態で物に触れると、洗い流したはずの病原体を拡散させてしまう可能性も指摘されます。手洗いによる衛生効果は、その後の適切な乾燥が伴わなければ大きく損なわれる可能性があります。手洗いの効果を最大限に引き出すためには、清潔なペーパータオルで水気を完全に拭き取るか、ハンドドライヤーを用いて徹底的に乾燥させることが重要です。この徹底した乾燥により、細菌やウイルスの再付着および細菌の増殖リスクは大幅に抑制されます。
(当研究会研究誌21号P12・P13から抜粋)